背中全体を鍛える種目として万能ともいえるチンニング(懸垂)。広背筋・大円筋・僧帽筋に与える効果を解説します。そして自重の懸垂ができない人や自重では負荷が足りない人に向けたコツも紹介します。一方で懸垂は少々難しい種目です。正しく理解して取り組みましょう!
Contents
筋トレデータベース
運動のタイプ | 筋力トレーニング |
メインターゲット部位 | 広背筋・大円筋・僧帽筋・上腕二頭筋 |
筋トレタイプ | コンパウンド種目 |
レベル | 中級者 |
別名 | 懸垂・チンアップ・プルアップ |
チンニング(懸垂)とは
チンニングとはバーにぶら下がった身体を背中の筋肉(広背筋や大円筋)・腕の筋肉(上腕二頭筋)で引き上げる運動です。
固定される部位がないため、スタビライザーとして小さな筋肉まで稼働して身体を安定させようとするため、非常に多くのメリットが得られる種目です。
チンニングのターゲット部位
広背筋
広背筋は棘突起・仙骨・腸骨稜・肋骨と上腕骨を繋いでいます。上腕を引く役割を担います。広背筋を鍛えることで、背中の逆三角形の広がりや厚みを作り上げます。
大円筋
大円筋は肩甲骨と上腕骨を繋いでいます。肩関節の内旋・伸展・内転の役割を担います。大円筋を鍛えることで、脇下に筋肉がつき逆三角形の背中を作り上げます。
僧帽筋
僧帽筋は上部・中部・下部の三部位に分けられます。それぞれ背中の中心(後頭骨・椎体)から外側(鎖骨・肩甲骨・肩甲棘)へ伸びています。
僧帽筋は肩甲骨の後退・挙上・上方回旋・下制・下方回旋の役割を担います。僧帽筋を鍛えることで、背中の厚みと凹凸を作り上げます。
上腕二頭筋
上腕二頭筋は肩甲骨と橈骨を繋いでいます。肘関節を屈曲・回外する役割を担います。上腕二頭筋を鍛えることで太い腕と男らしい力こぶを作り上げます。
チンニングの効果は?
チンニングでは主に背中の筋肉全体を鍛えます。特に背中の逆三角形の広がりを作り上げるのに非常に役に立ちます。
チンニングは体の厚みを出すのに効果的
また、からだの厚みを出す際に、前面の胸や腹だけでなくしっかりと背中も鍛え上げることでたくましさを増すことができます。
チンニングのグリップの種類
オーバーグリップ(順手)で広背筋・僧帽筋・大円筋狙い
オーバーグリップで握ることで、肘を寄せるように引き肩甲骨を動かしやすくなるので背中の筋肉を使いやすくなります。手幅を広げることでより広背筋・大円筋を稼働させやすく、手幅を狭くすることで僧帽筋を稼働させやすくなります。
リバースグリップ(逆手)で上腕二頭筋狙い
リバースグリップで握ることで、肘関節を屈曲させやすく上腕二頭筋を使いやすくなりなります。一方で背中の筋肉の稼働は抑えられます。
チンニングの正しいフォーム・やり方・参考動画
1. バーを握る
2. 身体を引き上げる
3. あごがバーの位置付近にくる位置で止める
4. ゆっくりと身体を下ろす
5. 上記の運動を繰り返す
1. スタートポジション
バーを両手で握りぶら下がります。この時点でしっかり胸を張り肩甲骨を下制させる(寄せて下ろす)意識を持ちます。肩甲骨を下制させ、肘が軽く曲がる位置がスタートポジションです。腕が伸び切らないようにしましょう。
2. 肘を寄せるように身体を引き上げる
腕の力ではなく、背中の筋肉を利用して身体を引き上げます。アゴがバーを越えるあたりまで上げましょう。胸をバーに充てるほど挙げられる場合は挙げてもよいですが、背中意外の筋肉を利用するのは避けましょう。両肘を内側に寄せるようにして肩甲骨を動かすと背中の意識をしやすくなります。
3. 身体を下ろす
身体を引き上げたら、ゆっくり身体を下ろします。重力に任せず、自力でコントロールしながら下ろしましょう。腕が伸び切らない位置まで下ろします。
4. 上記の運動を繰り返す
上記の運動を繰り返します。10回を1セットとし、3セットこなしましょう。
懸垂の参考動画
フィージーク選手であるsho_fitness氏による非常に詳しい解説となっており、トレーニー必見の動画です。
チンニングでおすすめのセット・回数と重量は?
基本的にトレーニングメニューは10回3セットと言われていますが、チンニングは自重トレーニングであり、細かい付加調整が難しい種目です。そこで今回おすすめするセットの作り方を紹介します。
チンニングでおすすめのセットの組み方・追い込み方
まず最初に上がらなくなる限界までチンニングを行います。その後、ネガティブ重視のチンニング(以下に紹介する自重でチンニングができない人向けの方法)を2回ほど行います。これで1セットです。この方法ではしっかりと追い込むことができます。かなり高負荷なので1,2セットで追い込み切りましょう。
チンニングでおすすめの加重重量
チンニングの加重重量ですが、基本的に自分のラットプルダウンで扱う重量に合うように調整してみましょう。チンニングの使用重量は自重なので、自重+ダンベル重量がラットプルダウンの使用重量になるようにします。
チンニングの取り組み方 インターバルや息継ぎのタイミングは?
山本義徳氏の著書である「山本義徳業績集8」によると、目的が筋力向上や筋肥大の場合背中トレーニングにおけるインターバルの時間を4~5分取ることが推奨されています。これは背中の筋力トレーニングでは複数の筋肉を同時に使うことが多いためです。そして心肺機能の回復も見込んでいるためです。
チンニング時の呼吸について解説します。バーにぶら下がり身体を挙げる前に息を吸います。そうすることで胸郭が広がりより胸を張りやすくなるはずです。そのまま身体を引き上げ、身体を下ろすときに息を吐きましょう。懸垂は身体の自由度が高いので、勢いに任せずていねいに行いましょう。
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筋肉不足で自重のチンニングができない人向けの方法・コツ ネガティブ重視
チンニングアシストマシンを使わずに懸垂をする方法
自重でチンニングができない場合、チンニングアシストマシンを使えば補助が可能ですが、このマシンが置いていないジムも多いです。そこで、おすすめの方法を紹介します。
1. バーを握る
2. ジャンプして身体を引き上げる
3. 身体を引き上げたまま力を入れ続けキープする
4. 限界が来ても力を抜かず、ゆっくりと身体が下りるようにする
5. 上記の運動を繰り返す
1. バーを握る
普段のチンニングと同様にバーを握ります。オーバーハンドグリップがおすすめです。
2. ジャンプして身体を引き上げる
自力で身体を引き上げられない代わりに、ジャンプして身体を引き上げた後の位置まで持ち上げます。
3. 身体を引き上げたまま力を入れ続けキープする
普段のチンニングとは異なり、身体を引き上げた後もその位置をキープするように常に力を入れ続けます。
4. 力を入れ続けゆっくり体を下ろす
力を入れ続けると限界がきます。それでもその位置をキープしようと力を入れ続けることで身体がゆっくりと降り始めます。可能な限り長い間力を入れ続けましょう。
5. 上記の運動を繰り返す
上記の運動を繰り返しましょう。この方法はチンニングのネガティブ動作を意識して行っています。かなり負荷が大きいので3回~5回を1セットとし2~3セット行いましょう。
チンニングでより背中に効かせるための注意点・効かせ方
反動を使わない
チンニングでは反動を使わないようにしましょう。マッスルアップをする際には反動も重要な要素の一つになります。しかし、チンニングでは可能な限り背中の筋肉のみを使って、しっかりと負荷をかけましょう。
サムレスグリップで広背筋を意識
オーバーハンドグリップで背中の筋肉をより狙いやすくなりますが、そこをさらにサムレスにすることをおすすめします。サムレスにすることでバーを握る意識が弱まり、腕の筋肉を使いにくくなります。
Amazonなどの通販で買えるおすすめの道具
パワーグリップ(握力不足で追いこめない人向け)
パワーグリップはバーを握る際に手の平を保護し、握るサポートをします。こりらはリストストラップよりも手首への負担が少なく手の平も守りますが、リストストラップほどのバーを握るサポートはしません。
リストストラップ(握力不足で追いこめない人向け)
リストストラップは手首に巻いたストラップをバーに巻きつけるので、バーを握るサポートとしては最も効果を発揮します。その代わり、高重量になってくると手の甲をストラップが押し付けるので手の甲に擦れるような痛みを感じる場合もあります。
トレーニンググローブ(手のマメが気になる人向け)
トレーニンググローブは手の平を保護します。バーを握るサポートはしないので、握力を鍛える面でも役に立ちます。しかし、握力に限界が来たものの、背中を追い込めていないといった場合にはパワーグリップやリストストラップが役に立ちます。
ディッピングベルト(重りで加重したい人向け)
チンニングは自重トレーニングなので、筋トレ歴が長くなると負荷が足りなくなる場合があります。そういった方におすすめなのがディッピングベルトです。こちらを利用することでプレートを使った加重が可能になります。
自宅でチンニングをするのに使える器具
ジムに通う余裕がなく、自宅でトレーニングをしたい方の助けとなる器具を紹介します。
ドアジム(手軽に家でチンニングを行いたい人向け)
自宅でスペースを取らずにチンニングを行えるのがドアジムです。ネジ穴をあけてドア枠に取り付けるタイプと、ドア枠に引っ掛けるタイプとがあります。どちらの場合もドア枠が頑丈なものか確認する必要があります。
チンニングスタンド(ディップスも行いたい人向け)
自宅にスペースがあり、ネジ穴をあけたりしたくない方、ドア枠があまりしっかりしてない方にはチンニングスタンドがおすすめです。こちらであればディップスも可能です。
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まとめ
いかがだったでしょうか。今回はチンニング(懸垂)についてまとめました。チンニングは大きな背中を作るトレーニングの中でナンバーワンとも言える種目です。背中全体を鍛えることもできる万能の種目です。ぜひ背中のトレーニングメニューに組み込んでみてください!
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