テストステロンの筋肉への効果とは?メカニズムやおすすめの食事・サプリメントを紹介

筋トレの話の中でよく耳にする男性ホルモンの代表格ことテストステロン。今回は筋トレとの関係やトレーニングと筋肥大に与える影響、そしてテストステロンの分泌とその働きを高めるサプリや食事について解説していきます。テストステロンに関する極端な知識ではなく、正しい理解をしてボディメイクに役立てましょう!

Contents

テストステロンとは アナボリックステロイドとアンチカタボリック

テストステロンとは、アンドロゲンに属するステロイドホルモンで、男性ホルモンの一種です。なかでも、生体内でたんぱく質合成を促す作用をもつことからアナボリックステロイドとも呼ばれます。

ステロイドと聞くと注射などで外部から摂取する薬物というイメージがありますが、体内でも自然に分泌されるものです。

また、テストステロンはコルチゾルによる糖新生を阻害するため、アンチカタボリックとしても知られています。

糖新生とは筋肉中のたんぱく質を分解しアミノ酸へ→肝臓でグリコーゲンへ→そこからブドウ糖を合成することです。

テストステロンと筋トレの関係 筋肉や筋肥大に影響するメカニズム

【結論のみを知りたい方向け】筋肥大のメカニズムを簡単に紹介

筋肥大に関するメカニズムについて解説します。先に結論を簡単にまとめると、「テストステロンが間接的にmTORC1のはたらきを活性させ、タンパク質合成が促進」します。

そもそもの筋肥大のメカニズムは? 筋繊維の断面積の増大

筋肉量の増大方法は「筋繊維のサイズの拡大」と「筋繊維の増加」という2種類が考えられます。しかし、筋繊維の数は個人によって固定されているという考えが主流であり、筋繊維の断面積の増加が筋肥大と考えられています。

どのようにして筋繊維の断面積が拡大するかの一説を紹介します。筋細胞の筋肉に傷がつくと、筋繊維の基底膜にいる筋サテライト細胞が増殖します。そして既に存在する筋繊維と核を融合させ、筋繊維の肥大と修復をさせます。

この筋サテライト細胞の増殖を活性化するのがIGF-1(Insuline-like growth factor 1)と呼ばれる成長因子です。IGF-1のはたらくメカニズムは以下の通りです。

IGF-1のはたらくメカニズム

1. IGF-1がIRS1(たんぱく質の一種)を活性化

2. IRS1がPI3K(酵素の一種)を活性化

3. PI3Kがakt(酵素の一種)を活性化

4. TSC2(たんぱく質の一種)を阻害とPRAS40の解離

5. mTORC1が活性(mTORC1の阻害作用を持つTSC2とPRAS40の働きが抑えられているため)

一方で、この筋サテライト細胞の増殖を阻害するのがミオスタチン(myostatin)です。どのようなシグナル応答が働いているかというと以下の通りです。

ミオスタチンのはたらくメカニズム

1. ミオスタチンがaktを減少(IGF1のメカニズムの3の過程とは反対)

2. TSC2とPRAS40の働きが阻害されない

3. mTORC1の働きを阻害

筋肥大のメカニズムにテストステロンはどう影響する?

テストステロンにはPI3Kを活性化させる作用があります。するとIGF-1同様、aktを活性化させ、最終的にmTORC1の働きを活性化させます。その結果、タンパク質合成が促進され筋肥大につながるということです。

よくテストステロンがミオスタチンの働きを抑えるという表現を見ますが、「ミオスタチンがatkを減少させる働きをするが、テストステロンによってatkが間接的に活性化されるため、ミオスタチンの働きが抑えられたように見える」ということです。

また、山本義徳業績集8「筋肥大・筋力向上のプログラミング」内でもシグナル経路に関する話が記載されているため、日本語でまとめられた解説を見たい方はそちらをおすすめします。

ボディビル・ボディメイクにおいて最も有名な方の一人である山本義徳氏。今回の記事では、「山本義徳業績集」全11作の中でも特におすすめする上位5作と、糖質制限ダイエット中の方向

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トレーニングによるテストステロンの増加は筋肥大に無関係説

テストステロンに関して一つ頭に入れておくべきことは、「筋力トレーニングによる一時的なテストステロンの増加は筋肥大に無関係である可能性」です。

というのも、テストステロンや他のアナボリックステロイドを外部から投与することで筋肥大したという報告は数多くされています。

一方で、ハイボリュームな筋力トレーニングでテストステロンの増加が観察されたが、これは一時的なものであり、また、このテストステロンの増加と筋肥大の間に関係性はみられなかったという報告もされているのです。

これらの研究では結論付けるのに不十分なので今後も注目していく必要があります。

テストステロンの特徴

男性女性ともに体内で産生

男性ホルモンとしてよく例に挙げられますが、テストステロンは男性女性どちらの体内でも産生されます。

しかし、その産生量に差があり、男性では5~10 mg女性ではその10分の1程度です。

1日の中で最もテストステロンレベルが高いのは朝

テストステロンレベルは1日の中で変動します。朝が最も高く、そこから徐々に減少します。

年齢とともにテストステロンレベルは減少

テストステロンレベルは20代などの若者が最も高く、そこから加齢とともに減少する傾向にあります。

そういった中でテストステロンレベルを気にする方に、テストステロンブースターなどのサプリメントをおすすめできます。

テストステロンが身体に与えるメリット

テストステロンが身体に与えるメリット

筋肉:タンパク質合成を増加させ、筋肉量と筋力の増大

体脂肪:脂肪の吸収や貯蔵を防ぎ、脂肪燃焼性のβアドレナリン受容体の数を増やす

:認知力、記憶力、性欲、愛情の向上

心臓:血流と心拍数の向上

:赤血球の生成と骨成長、骨密度の維持

男性の性機能:精液の生成と生存力のサポートと勃起能の促進

:コラーゲンの生成と髪の毛の産生

腎臓:赤血球の生成を刺激するエリスロポエチンの産生

テストステロンが人体に与えるメリットは筋肉から内臓に至るまで多岐にわたります。

しかしながら、どの程度のテストステロンの増加がどれほど人体に影響を与えるか、など明確な結論は出ておらず現在も研究が行われています

外部からのテストステロン投与と体内で自然に生成できる量のテストステロンとでも効果は変わってくるので、今後の研究結果もチェックしていく必要があります。

テストステロンのデメリット 外部からの投与による副作用・注意点

外部からのテストステロン投与による副作用・注意点

・ニキビの増加などの肌荒れ

・注射部の痛みや腫れ

・女性化乳房

・凶暴性(まれな症状ではある)

注意すべきは、これらの症状はテストステロンを注射などの形で外部から摂取した際に見られた報告であり、筋トレなどによる体内での自然なテストステロン分泌ではありません。

外部からテストステロンを摂取する場合には注意しましょう。

テストステロンの分泌量を増やす方法の例

テストステロンの分泌量を高める方法がいくつかありますが、その中でも研究報告が存在し、効果的であろう方法を紹介します。

ハイボリュームなトレーニング

ハイボリュームなトレーニングがテストステロンを高めるという報告があります。

HIITトレーニングや、5回×5セットで行っていたトレーニングから重量を落として10~12回×5セットに変えるなどの方法があります。

ただし、一度体が慣れてしまうと、またボリュームを上げる必要があるようです。

サプリメントから高めるアプローチ テストステロンブースター(亜鉛・マグネシウム・アルギニンなど)

サプリメントを通してテストステロンレベルを上げる方法があり、そういった効果を期待して販売されているものがテストステロンブースターです。

加齢とともに落ち込むテストステロンレベルを気にする方におすすめできます。

テストステロンブースターとして販売されているサプリの多くは亜鉛、マグネシウム、アルギニン、ビタミン各種を含みます。以下にいくつかのテストステロンブースターを紹介します。

テストステロンブースター1:EVL TEST (EVLUTION NUTRITION)

EVLUTION NUTRITION社のEVL TESTを紹介します。

iHerbでは3,935円で購入可能です。1食当たりのコストは128円です。

成分は以下の通りです。「% DV」とは一日の基準摂取量に対する割合です。

1 serving当たり % DV
ビタミンD 1000 IU 250 %
ビタミンB6 11 mg 550 %
マグネシウム 160 mg 40 %
亜鉛 30 mg 200 %
D-アスパラギン酸 3120 mg
ハマビシ抽出物 759 mg
フェヌグリーク種子抽出物 500 mg
ジインドリルメタン 250 mg

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テストステロンブースター2:Prime-T (RSP NUTRITION)

RSP NUTRITION社のPrime-Tを紹介します。

iHerbでは3,933円で購入可能です。1食当たりのコストは128円です。

成分は以下の通りです。「% DV」とは一日の基準摂取量に対する割合です。

1 serving当たり % DV
ビタミンD 3000 IU 750 %
葉酸 800 mcg 200 %
ビタミンB12 12 mcg 200 %
亜鉛 12 mg 80 %
D-アスパラギン酸 3200 mg
フェヌグリーク抽出物 500 mg
マカ抽出物 300 mg
ビタミンB3 20 mg 100 %
マグネシウム 160 mg 40 %
ハマビシ抽出物 759 mg
3’3-ジインドリルメタン 250 mg
クロロフィウム・ボリビナヌム 250 mg
クエン酸ホウ素 100 mg
バイオペリン 5 mg

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食べ物から高めるアプローチ おすすめ食品はシーフートやカボチャの種

テストステロン値を高める方法として、ビタミンDや亜鉛、マグネシウムなどの摂取が挙げられます。そこで、それらを豊富に含む食材を紹介します。

ビタミンDを豊富に含む食材はサーモンなどの海鮮系のものがおすすめです。特に魚は高タンパクかつ良質な脂質も法に含まれている点もおすすめできます。

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亜鉛の含有量が高い食品に関しては、牡蠣や牛肉が挙げられます。

マグネシウム海苔や昆布、ひじきなど海藻類に豊富に含まれます。しかし、海藻類のみを大量に摂取するのはあまり現実的ではなく、サプリメントに頼る必要性も出てくるかもしれません。

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テストステロンの効果を弱めてしまう行動

喫煙(電子タバコやニコチンガムを含む)

喫煙によってテストステロン値が上がるという報告があるものの、一方で、体内で利用されるテストステロンを下げるというデメリットもあります。

過度な減量や食事制限、ファスティング

過度な減量や食事制限はテストステロン値を下げてしまうといわれています。減量方法に関しては偏った知識や過度な結果を求めず、正しいやり方で行うことをおすすめします。

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テストステロンと聞いて連想される筋トレ社長testosterone氏とは

ボディメイクに関して意識したのが最近である方は、テストステロンと聞くとツイッターで56万人以上のフォロワーがいるTestosterone氏を思い浮かべるかもしれません。

Testosterone氏は筋トレ社長という呼び名で知られる方であり、本記事で扱っているホルモンとしてのテストステロンとは異なります。

筋トレを主軸に置いたツイートや著書がメディアで取り上げられるなどかなりの影響力があります。素性に関しては明らかにしていません。

マッスルホールディングス編集部でも実際に読み、モチベーションに繋げたという声もあります。

まとめ

いかがでしたか。今回は男性ホルモンの一つとして知られるテストステロンに関して解説しました。テストステロンと聞くとステロイド!ドーピング!といった極端な解釈をされている方にとって、正しい理解を得る助けになれば幸いです。

テストステロンと筋肥大のメカニズム、筋力トレーニングとテストステロンの関係など、複雑な話をしてしまいましたが、正しい知識を付けて今後のボディメイクに役立てましょう!

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